訪問歯科の実態突撃レポート!

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訪問歯科の実態突撃レポート!

目次

【特別企画!訪問診療グッズ拝見!】

「訪問歯科、ホームページだけ読んでもイメージが沸かない・・・」
論より証拠、実際にどのような様子なのか?
現場での実践経験豊富なコーディネーターさんに突撃レポートして参りました。

歯を治すだけの時代は終わりました
「歯を治すだけじゃなくて安心安全にご飯が食べられるまでを診る歯医者です」

レントゲンも持って行きます!

―訪問歯科って何が出来るのかまったく謎なんですが・・・。

「たいした治療が出来ないんじゃないか」というイメージがある方が多いと思います。
実際は、歯医者さんでの一般診療がご自宅で出来るんですよ。
歯を削る、詰め物をする、入れ歯を作る、銀歯を作る、歯を抜く、レントゲン撮るなど。
それらの治療を出来る道具を携えて伺います。

―結構大きなものなのでしょうか?

歯の治療をする道具は「削る、水が出る、風が出る、水を吸う」これが一式じゃないですか?
あとレントゲン一式の、都合2セットです。

―レントゲンも撮れるんですか???

はい、撮れるんです。
充電していけばその場で電源不要でレントゲンを撮ることが出来ます。

―ポータブル式レントゲンですね。

従来のフィルム式の・・・よく「噛んで」と言われてレントゲン撮りますよね・・・あのネトってしてるやつです。
フィルム式なので、帰ってきて現像します。

―訪問で伺った先の患者さんは、自宅でレントゲンが撮れるなんてビックリしませんか?

知らない方がほとんどですね。
ここまで機材を持っている訪問歯科は、なかなかないと思います。

―訪問歯科って、出張はしてくれるけど、簡単な治療しかできないものかと思っていました。

当医療法人は訪問歯科に力を入れてやっているので、機材も充実しています。
「入れ歯を簡単にしか削れないんじゃないの?」とか「お口の掃除しかできないんじゃないの?」とか思ってる方が多いですね。

僕らが頭を後ろから支えさせていただきます

―普通のうちには診察用の椅子があるわけじゃないので「首はどうするの?」「ライトはどうするの?」と思います。

歯は、懐中電灯で照らします。
首は、ベッドの上で寝たまま治療をしたり、ソファーの上に横になってもらうなどします。

―行った現場でその都度対応するという事ですね!

はい、「その方の楽な体制」という事ですね。
車椅子の方は乗り降りするだけでも結構大変なので、車椅子に座ったまま僕らが頭を後ろから支えさせていただきます。

―車いすに乗ったまま人の手で支えるのですか?

そうです。
むしろ降りる方が大変なので、乗ったまま僕らがサポートするのでそのまま治療させてくださいという方が、双方とも楽なのです。

入れ歯は義歯といいます、義手や義足と一緒です

―一番多い治療は何ですか?

患者さんの層は高齢者の方が90%以上なので、入れ歯の調整や作成ですね。
「印象材」と言って歯型を取る粘土のようなものもその場で練ります。
体の不自由な方はご自身でお口の清掃が出来ないので、定期的な口腔ケアや舌の掃除、ご自身では取れない歯石を機械で取ったりします。

―入れ歯の治療の回数ですが、大体何回くらいかかるんですか?

だいたい週に1回行って、1カ月~1カ月半なので4~5回で完成ですね。
でも完成したら終わりじゃなくて、そこから微調整です。

入れ歯は義足と一緒です。
義足は、すぐフィットすることもあるけど合わないこともある・・・入れ歯も同じで、使い始めは嚙み心地が合うまでちょっと擦れたり、噛み合わせが高かったりすることもあります。
パラリンピックで注目を集めた「義足」や「義手」のように、入れ歯の事を「義歯(ぎし)」といいます。
そのようなところからも、調整が必要だという事はご理解いただけると思います。
また、差し歯の治療でも入れてすぐはもちょっと高く感じることがあるように、微調整が必要だと考えるとイメージしやすいのではないでしょうか?

―なるほど。そうなると、合っているか合ってないかを確認するためにも率直に話が出来る雰囲気・・・コミュニケーションが大事ですね。遠慮して伝えられない方もいると思います。

義手や義足と同じと思えば、遠慮せずに伝えていただけるのではと思います。

―ちなみに、訪問の際は先生と歯科衛生士さんとでいらっしゃるのですか?

歯科コーディネーターも同行します。
歯科医師、歯科衛生士、歯科コーディネーターの3人で訪問します。
コーディネーターは事務作業や車の運転などもします。

―そんなに来てもらうと恐縮しちゃいませんか?患者さん。

もちろんビックリします。
特にこういう時代(コロナ禍)なので、困るという方もいますが、3人いた方が僕らとしては効率が上がって逆にいいんです。
器具や機材もいっぱいあるので・・・。

―確かに、お医者さんのように聴診器だけでは済まないですよね。

道具がいっぱいあるので人の手も必要です。
頭を支える人、道具の準備をする人、手を抑える人など3人がベストなのです。

訪問時、転んでいる方を起こすこともしばしば

―なるほど。印象深いエピソードはありますか?

行ったら倒れていたとか結構ありますよ。

―行ったら倒れてる?!

倒れている・・・というか転んでいるという感じですね。
独居(どっきょ:一人暮らし)の方が、トイレに行く時にベッドから落ちて、動けなくなって数時間誰も気が付かない事などあるんです。
立ち上がれないんですね。
息子さんや娘さんが別に住んでいる場合、よくある事でもあります。

―確かに。離れて暮らしている家族としては心強いですね。(訪問歯科を)依頼する方は、家族ですか?

家族や、その患者さんを取り巻く介護関係者(ケアマネージャーさん)が多いです。

飲み込めるまで診るのが訪問歯科

―嬉しかったことは?

基本的には、歯科治療がメインなので、今まで食べられなかったのが食べられるようになるというのが嬉しいことでありますし、それが目標でもあります。
「食支援」が当医療法人のコンセプトです。

―食支援とは?

歯医者って「治したら終わり」というイメージがあると思うんですけれど、訪問歯科は歯を治すだけでなくて、その人がしっかり治した上で安全安心にご飯が食べれる、飲み込めるまで診るのが訪問歯科なのです
全身も診ていくのが訪問歯科の役目だと思って僕らはやっています。
ただ単に「口腔ケアをします」「入れ歯を治します」だけじゃなくて、その人に合った「食べ方の支援」や「噛み方の支援」も大事な役目です。

入れ歯の噛む力は自分の歯の10分の1

―嚙み方の支援?!

はい。

―歯医者さんは口の中だけって普通思います。
飲み込むまで診るってことは、具体的には何をするんですか?
ノドを診るのは耳鼻科じゃないの?と思います。

確かにそう思いますよね。
「歯を治すだけ」というイメージがあると思うんですけど、当院が目指すのは歯を治して終わりという従来のイメージではありません。
噛む力や飲み込む力が、高齢者の方は通常の10分の1以下と言われています。

―10分の1以下?!

例えば、入れ歯であれば自分の歯で噛む力と比べると10分の1以下と言われています。
今まで食べていた豚肉などが噛んで飲み込んで丸飲みになる、そうなると消化が悪くなって、便秘につながって、体調が悪くなる、ガスが貯まるなどのいろいろな伏線が張られてしまうのです。
その人に合った食事の提供が大事になります。

―食事指導という事でしょうか?

そうです。

―おお、そこまでやってくれるんですね。具体的にはどのようなことをするのですか?

普通に常食(じょうしょく)を食べてらっしゃる方がいますよね?

―常食ってなんですか?

常食とは、普通の唐揚げ定食とか、ハンバーグ定食とかです。
例えば、それを食べるにあたっても、僕らは普通にひと口で食べられるじゃないですか。
だけど入れ歯の人の場合、ひと口で食べるのに大きい口を開けると入れ歯が取れちゃうんですよ。

―大きい口を開けると、入れ歯は取れちゃうんですか??

例えばですけど、総入れ歯の場合、上の歯は吸盤みたいについているんですよ。
部分入れ歯だと、残っている歯にバネをかけるので基本的には落ちたりしないんですけれど、総入れ歯の方は大きい口を開けると外から空気が入ってパカって落ちちゃうんです。

―昔、そういうコントがありましたね。

そういう原理なんですよ。
なので、唐揚げが一口で食べられるかというと食べられないですね。
4分の1とかに刻んで食べやすい環境で食べてもらうのがいいのです。

―「こういうご飯がいいですよ」というレシピやメニュー例も頂けるんですか?

もちろんです、もちろんです。

―私たちにとっては「もちろん」じゃないです。

禁食の方に「プリンは1日1回、3口までですよ」

逆も然りで「絶対この人は食べられないと」という「禁食(きんしょく)」の方もいるんです。

―禁酒じゃなくて「禁食」ですか!?ということは、胃ろうですか?

そうです。
ご家族様は少しでも口から食べさせたい希望があるじゃないですか。
そういう時にも「ゼリーだったらもしかしたら食べられるかもしれない」とか「プリンだったら食べられるかもしれない」とか、そういう可能性があることもあります。
僕らはそれを調べるのです。

―具体的にはどうやって調べるのですか?

内視鏡とか、聴診器とかを当てて評価します。

―内視鏡って鼻から突っ込むんですよね・・・痛くないですか?

痛くないです。
最初は痛いなと思うんですが、入ってしまえば痛くない・・・特に高齢者の方は痛みには敏感でなくなってきているので違和感はありますが意外とスムースに入ります。

―七転八倒するような痛みではないという事ですね。

そうですそうです、出血する可能性もほとんどないですし。

―禁食だった方が食べられるようになるんですか?

胃ろうや、CVポートと言って首から点滴を入れている方とかが食べられるケースも少ないですがあります。
ご飯が食べられないと余命半年といわれていた方が、3年4年と生きて普通に歩けるようになったケースもあります。

―具体的にはどんなことをするんですか?

口を動かすことが一番のトレーニングです。
ベロを上下左右に動かすだけでも違うし、口を膨らます、すぼめるだけでも違うし、深呼吸するだけでもトレーニングになるんです。

―お口のトレーニングをして、飲み込むの機能を上げるのですね。

高齢者の方であれば、機能を上げるというよりも維持すること、低下させないことが大事になってきます。
トレーニングをして飲み込みやすい環境を整える、噛みやすくて飲み込みやすくするリハビリを提供します。

―家族は希望を捨てたくないじゃないですか。実際どれくらいのペースで来るんですか?

患者様の症状と費用面との希望を擦り合わせてご提案します。
基本的には、歯の治療であれば週に1回、飲み込み(摂食嚥下:せっしょくえんげ)のリハビリに関しては2週間~1カ月に1回です。
その間のリハビリや食事のサポートは日常のことなので、ご家族にやっていただくという方針ですね。

―「こういうメニューでやってください」とかですか?

はい。
例えば、禁食の方に「プリンは1日1回、3口までですよ」とか最初はそういうところからスタートしていきます、リハビリですよね。

―ノドのリハビリ?

そうですね。プリンを全部食べると肺炎のリスクが上がりますから。

―飲み込みのリハビリ、ですね。

はい、徐々にリハビリします。
そこで誤嚥性肺炎になるとまたリセットされるので、リスクは避けながら少しずつ進めます。
誤嚥性肺炎を何回も繰り返して苦労しているご家族の方もいると思います。
実は耳鼻科よりも歯科の方がかなりやってる分野です。

依頼はどこから来るの?費用は?

―かかりつけのお医者さんとのやり取りもお願いできるのですか?また、医科の先生(お医者さん)からコチラを紹介していただけることもあるんですか?

もちろんです、たくさんあります。
摂食嚥下(せっしょくえんげ:飲み込みの事)の内視鏡の検査だと、医科の先生からの申し込みがほとんどですね。
あとは、ホームページを見たご家族様からの問い合わせですね。

―内科の先生は、内視鏡はしないんですか?

しないですね、耳鼻科でする先生もいますが、往診でやっているというのはなかなかないと思います。
往診で内視鏡を使うのは歯科が圧倒的に多いと思います。

―もともと訪問歯科でやっていたからフットワークが軽いという事ですね。

はい、ワンストップでやっています。

―ワンストップ、いいですね。お願いする場所が一か所で済むというのは家族にとってとても楽です。
そして、一番気になるのは費用なんですが

基本的には保険診療です。
介護保険も使えます。
1回につき、1割負担の方なら1500円から2000円くらいですね。

―出張料は?

それも含んでの料金です。

―家族がタクシーで連れていくことを考えたら訪問歯科の方が安いですね。

あとご家族の労力が減ります・・・家にいれば時間になれば来るので。

訪問歯科ならではの嬉しいこと

―だんだん顔見知りになりますか?

はい。
普通の歯医者さんは、医院に来てもらうじゃないですか?
訪問診療は私どもが参りますので、通常知りえないパーソナルな部分が見えます。
おうちに行くので、家族構成とか好きな食べ物とか好きなテレビ番組とか、ふつうは知りえないところも分かるので、そういう会話になりますし、コミュニケーションの一環になります。
高齢者の方の訪問は短くて3カ月、長い方だと1年くらいかかります。
基本的には週に1回行くので自然と仲良くなります。
家族同然のように接してくれる方もいます。
治療が終わっても「寂しいから来てよ」という方もいます。

―1人暮らしの方ならなおさら嬉しいですよね、来てもらえるの。

そういう信頼関係は築きやすいですし、その方の人生の傍らで見守れるのが訪問歯科の醍醐味です。

―家族は立ち会わなきゃいけないんですか?

絶対ではないです。
一緒に住んでいれば立ち会う方もいらっしゃいますし、時間を合わせてきてくれる方もいますし、立ち会えなくてもコチラからフィードバックの電話は1本入れるので大丈夫です。

―それはありがたいですね。

特に男性の1人暮らしの方は、女性の方が来てくれるだけでも嬉しいでしょうし、逆もそうですし。

―人生模様が見えて、結構濃いですよね。

濃いですよ、いろんな方がいて様々な話が聞けるので、僕としては嬉しいです。
色々な経験や知識の話をしてくださり勉強になります。

「きらきら歯科」ネーミングのエピソード

―話は変わりますが、そもそもなんで「きらきら歯科」なんでしょうか?

当院が所属しているのは立靖会という大きな医療法人なんですね。
訪問歯科に力を入れていて、関東一円でやっています。
今までは「ひまわり歯科」と「ラビット歯科」という医院名だったのですが、今回は新しい医院名でやってみようと、社内のスタッフに公募したんです。
言いやすい、響きもいい、覚えやすい、というところで「きらきら歯科」になりました。

―確かに1回聞いたら忘れないですし、ご高齢の方にも分かりやすいですよね。「きらきらさん、今日来てくれるのかしら」みたいな。

ありがとうございます。
耳に残りますし、歯がキラキラにも結びつきますよね。

横浜市では、当医療法人初の医院です。
神奈川は、相模原市、川崎市、大和市もありますが、横浜市は初です。
当医療法人の訪問診療車がはじめて横浜を走りますので「きらきら歯科」の訪問車を見たら気軽にお声がけください。

―なるほど。きらきら歯科の院長先生は、どんな方ですか?

物腰がやわらかくてすごく温厚、優しいですね。
ベテランで経験豊富で、入れ歯が得意です。

素朴な疑問集

―1日何件くらい行くんですか?

10~15件くらいです。

―コロナ対策や衛生面はどうですか?

お口の中を触るので、歯医者さんも訪問歯科もコロナ以前からそもそもの衛生対策は徹底しているんです。
グローブやマスク、ゴーグルもコロナ禍以前からしていましたし、N95マスクをスタッフ全員に配っています。
また、訪問スタッフが感染しないように定期的な換気をします。

【特別企画!訪問診療グッズ拝見!】

訪問歯科では一体どんな道具を使うのでしょうか?
道具に関する疑問を、突撃レポートをしました。

レントゲン

こんな外観です。

―え~!これがレントゲン!説得力あります!カメラじゃなくレントゲンなんですよね?

―電源は必要なんでか?

バッテリー式で充電していくので、不要です。

―最新式ですか?

割と最新式です。

ポータブルユニット・ポータブルバキューム

今度は歯を削る道具を見せていただきました。

―ミシンケースみたいですね。一事業所に一台ですか?

いえ、各車に一台です。

―おおカッコイイ!水をペットボトルみたいのに入れるんですね?吸った水がタッパーみたいのに入るんですね。まさに「ミニミニ歯医者」

そうですね。
フットペダルを踏んで、足でコントロールします。
医院だと、ユニット(診察台)にくっついています。

左からバキューム、タービン、スケーラー、「3wayシリンジ」です。

バキュームは水を吸い取るもの、タービンは歯を削るあの「キュイーン」と音が出るやつ、スケーラーは水と超音波の振動で歯石を取るもの、3wayシリンジは風や水を出すものです。

―うちで歯医者さんのあの音がするんですね。でも、どんな道具が来るかが分かるとおっかなくなくなります。

お願いするかどうか悩んでいるようでしたら、まず質問だけでもお気軽にご連絡いただければと思います!

取材後記

「入れ歯の苦労」がインタビューで分かりました。
自分の歯がある介護する側(家族など)は、入れ歯の人の気持ちや不便さが全然理解できていないことがよくわかりました。
道具は、インターネットやパンフレットで診るより、本物を見ると説得力があります。
医療法人立靖会さんが考えていること、いわば医療法人の「人となり」が分かりました。

訪問歯科、これからいろいろなエリアで推し進めるようです!乞うご期待!